Appleのカスタムチップ、特にAシリーズはその高性能で業界をリードしてきました。現行のiPhone 16シリーズに搭載されているA18/A18 ProチップはTSMCの3nmプロセスで製造されていますが、当初はiPhone 17 Proモデルで2nmプロセスが採用されると噂されていました。しかし、最新の情報によると、AppleはTSMCの2nmチップをiPhone 17 Proモデルへの採用を見送ったと報じられています。その理由は、予想を上回るコストの高さと、十分な供給能力の確保が難しいことにあるようです。
製造コスト上昇と供給能力不足が原因か
複数のメディア報道(MyDrivers経由など)によると、AppleはiPhone 17 ProおよびiPhone 17 Pro MaxへのTSMC製2nmプロセッサチップの搭載を延期し、商業的な導入は2026年にずれ込む見込みです。この遅延の背景には、TSMCの2nmチップの製造コストの高騰と、量産体制構築の遅れに対する懸念があるようです。TSMCはすでにチップの試作を開始しているものの、期待された歩留まりに達しておらず、製品の納品には時間を要する可能性があると報じられています。
歩留まり率の低さとウェハーコストの高さ
2nmチップの試作は台湾の新竹にある宝山工場で行われていますが、報道によれば、歩留まり率はTSMCが設定した基準に達していないとのことです。具体的には、歩留まり率は60%にとどまっており、製造されたチップの約40%が不良品として廃棄されている計算になります。さらに、1枚のウェハーのコストが3万ドルと非常に高額であることも、Appleが間近に迫ったiPhone 17 ProとiPhone 17 Pro Maxに2nmチップを搭載することを躊躇する要因となっているようです。
この状況を受け、Appleは2nmチップの導入をほぼ1年延期することを決定し、2026年のiPhone 18 Proモデルの発売に合わせて搭載される見込みです。これは、iPhone 17シリーズが引き続きTSMCの3nmチップを使用することを意味します。Appleは現行のiPhone 16シリーズですでにTSMCの3nmチップを使用しており、A19 Proチップには改良が加えられるものの、2026年の2nmチップはさらなる効率向上と大幅なパフォーマンス向上を実現することが期待されます。
性能向上は期待できるものの、コストが課題
製造上の課題にもかかわらず、TSMCは2024年のIEDMカンファレンスで、2nmチップは3nmチップよりも最大15%多くのトランジスタを搭載し、同じ消費電力で15%のパフォーマンス向上につながると示唆しています。AppleがTSMCの2nmチップの採用を延期したのは、この技術が非常に高価であり、数百万台のiPhoneに必要な規模で生産することが困難であるためです。端末価格を抑えたいAppleにとって、これは賢明な判断と言えるでしょう。
まとめ
今回の情報から、以下の点が明らかになりました。
- TSMCの2nmプロセスの歩留まり率が低く、コストが高い。
- AppleはiPhone 17 Proへの2nmチップ採用を延期し、iPhone 18 Proでの採用を見込んでいる。
- iPhone 17シリーズは引き続き3nmプロセスチップを使用する。
今回の延期は、技術的な課題とコストのバランスを考慮した結果と言えるでしょう。今後の情報に注目が集まります。
補足:
この記事では、複数の情報源を元に、AppleがTSMCの2nmチップ採用を延期した可能性について解説しています。しかし、これはあくまで現時点での情報に基づく推測であり、今後の状況によって変更される可能性があります。最新の情報については、今後の発表にご注目ください。
ソース:https://wccftech.com/apple-delays-tsmc-2nm-chips-due-to-cost-and-prodiction/